【用排水路から海を守る革新技術】SEETHLIVERとは何か?
- SUSTAINABLE JAPAN
- 6月1日
- 読了時間: 4分
海洋ゴミの約8割は、街の生活排水や農業排水など、陸域から川や用排水路を通って海へと流れ込むと言われています。このような現状に対し、株式会社SUSTAINABLE JAPANが開発したのが、用排水路浮遊ゴミ回収機「SEETHLIVER(シースリバー)」です。
SEETHLIVERは、生活排水や農業用水が流れる用排水路に設置し、そこを通過する浮遊ゴミ、特にプラスチック系のゴミを効率よく回収する装置です。その最大の特徴は、限られたスペースや水位変動の激しい水路にも適応できる柔軟な設計にあり、都市部や農村部の様々な場所への設置が可能です。

なぜSEETHLIVERが必要なのか
これまで海洋ゴミ対策といえば、海岸での清掃活動や海上での回収作業が主流でした。しかし、それでは根本的な解決にはなりません。なぜなら、海に流れ出てしまったゴミは回収が困難で、また回収コストも高いためです。
そこで注目されるのが"源流対策"です。つまり、ゴミが海に流れ出る前の段階、すなわち用排水路での回収こそが、最も効果的かつ現実的な対策だという発想です。SEETHLIVERはまさにこのニーズに応える製品であり、未然防止の観点から極めて価値の高い存在なのです。
農業と海洋プラスチック問題のつながり
意外に思われるかもしれませんが、農業と海洋プラスチック問題は密接に関係しています。たとえば、農作物に使用される"被覆肥料"の外膜はプラスチックでできており、それが雨などで用水路に流され、最終的に川から海へと到達するケースが少なくありません。
農業者の中には、環境保全意識が高く、「自分たちの農業活動が海に与える影響をできるだけ減らしたい」という思いを持つ方も多くいます。SEETHLIVERは、こうした農業従事者の想いに応える装置として、農業現場での導入も進んでいます。

開発のきっかけと理念
SEETHLIVERの開発は、熊本のとある米農家からの一言がきっかけでした。「当時、話題になっていた海洋ゴミ回収機Seabinのようなものを、自分たちの田んぼの横の水路に設置できないだろうか?」という相談がありました。
しかし、Seabinは港など比較的穏やかな場所での設置を前提としており、水位変動の大きい用排水路では機能しません。そこで弊社代表・東濵が自ら設計に乗り出し、実に2年半の開発期間を経てSEETHLIVERが誕生しました。
東濵は、「100%海をきれいにするのは難しくても、せめて1%でも良くしたい。そのためには、身近な場所からゴミの流出を防ぐことが大切だ」と語っています。
実証実験と導入実績
2023年からは熊本県内を皮切りに、いくつかの地方自治体や農業団体と連携し、実証実験を実施。現在では、SEETHLIVERの有効性が実証され、徐々にではありますが各地で導入が進められています。
技術的な特徴
水位変動への対応:独自のフロート機構により、水位の上下に追従可能。
再生可能エネルギー:太陽光パネルを搭載し、電源が取りにくい場所でも稼働可能。
回収効率の高さ:メッシュ構造のバスケットにより、微細なゴミも確実に捕集。
カスタマイズ性:設置場所に応じてサイズや仕様のカスタマイズが可能。

社会的インパクトと今後の展望
SEETHLIVERは、単なるゴミ回収装置にとどまりません。それは、「地域とともに海を守る」という新しいライフスタイルと価値観を提案するツールでもあります。設置によって、地域住民の環境意識が高まり、子どもたちの環境教育にもつながります。
また、SEETHLIVERの開発は日本国内にとどまらず、東南アジアなどゴミ問題が深刻化している地域への展開も視野に入れられています。将来的には、グローバルな"海の番人"として、多くの国と地域で活躍することが期待されています。
交付金制度と導入のしやすさ
導入費用に対しては、農林水産省をはじめとした各種交付金制度を活用できるため、自治体や農業団体でも比較的導入しやすいのも魅力の一つです。SUSTAINABLE JAPANでは、導入の相談から補助金申請のサポートまで一貫して対応しており、初めての方でも安心です。
導入をご検討の農業従事者の方はお問合せください。

最後に
未来の海を守るために、今私たちができること。それは、まず足元の用排水路から見直すことです。SEETHLIVERは、そんな一歩を踏み出すための強力なパートナーとなってくれるでしょう。
今、私たちが何もしなければ、未来の子どもたちはもっと深刻な環境問題に直面することになるかもしれません。しかし、私たち一人ひとりの小さな行動が、確実に大きな変化を生むこともまた事実です。
SEETHLIVERのような技術を活用し、地域と連携しながら行動を起こしていくことが、サステナブルな未来をつくる第一歩になります。たった一台の装置でも、そこから始まる変化には計り知れない価値があります。
100%の理想を求めるのではなく、1%でも現実を変えていく──その積み重ねが、きっと未来の海を救うことにつながるのです。私たちの世代が担うべき責任と可能性に目を向け、共に行動を始めましょう!
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