CO2を吸う海の森:ブルーカーボンのチカラと課題
- スタッフ
- 5 日前
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〜ブルーカーボンという希望〜
気候変動が深刻さを増す中で、私たち株式会社SUSTAINABLE JAPANは、さまざまな環境課題に対するアクションを模索し続けています。
その中で、今とくに注目しているのが「ブルーカーボン」と呼ばれる自然由来の炭素吸収源です。

ブルーカーボンとは、海に生息する植物や生態系が大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収・固定する能力を指す概念で、陸上の森林が担うグリーンカーボンに対して「海の森」とも称されます。
本記事では、このブルーカーボンのチカラと、その活用に向けた現状の課題について、私たちの視点から詳しく解説します。
ブルーカーボンとは? 〜海の中にあるCO2吸収源〜
ブルーカーボンという言葉が初めて使われたのは2009年。国連環境計画(UNEP)などが中心となって提唱した比較的新しい概念です。
具体的には、以下のような海洋生態系がブルーカーボンを担っているとされています。
藻場(もば):アマモやホンダワラなどの海草が繁茂する海中の植物帯
マングローブ林:熱帯・亜熱帯に見られる塩分に強い樹木が群生する湿地帯
塩性湿地(潮間帯湿地):海と陸の間に広がる湿潤な環境
これらの生態系は、植物の光合成によりCO2を吸収し、海底の堆積物として長期にわたり炭素を固定することができます。
同じ面積の森林に比べても高い炭素吸収力を持つことがあるため、「海の炭素貯金」として再評価が進んでいます。

なぜ今、ブルーカーボンなのか?
私たちがブルーカーボンに注目する理由は、気候変動対策の「即効性」と「多機能性」にあります。
高い炭素吸収能力
ブルーカーボン生態系は、陸上の森林に比べて1.5〜5倍もの炭素を単位面積あたりで吸収することがあります。
また、炭素が海底の堆積物に長期間隔離されることで、炭素固定の持続性も高く評価されています。
生物多様性の保全
藻場やマングローブは、魚介類の産卵・育成の場となるなど、豊かな生物多様性を支える基盤です。
結果として、沿岸漁業の持続性や海洋資源の安定供給にも寄与します。
海岸線の保護
これらの生態系は、波のエネルギーを吸収して海岸線を守る「天然の防波堤」としても機能します。
海面上昇や台風の激甚化が進む中で、その役割はますます重要になっています。
日本とブルーカーボン:SUSTAINABLE JAPANの取り組み
日本は四方を海に囲まれ、藻場や干潟など多様なブルーカーボン生態系を持つ国です。
私たち株式会社SUSTAINABLE JAPANでは、以下のような取り組みを行っています。

藻場の再生プロジェクト
近年、海水温の上昇や開発によって藻場が消失する「磯焼け」現象が日本各地で深刻化しています。私たちは、藻場の造成や、自然再生に効果的な微生物パウダーの開発に着手し力を入れていきます。
将来的な制度化への期待と準備
現在、SUSTAINABLE JAPANは、ブルーカーボンクレジット制度の制度化支援にはまだ直接関与できておりませんが、しかし、今後制度が整備される際には、民間事業者として積極的に関与し、価値あるブルーカーボンの見える化と社会実装に貢献したいと考えています。
ブルーカーボンの課題
注目が高まる一方で、ブルーカーボンの活用にはいくつかの課題もあります。
科学的エビデンスの不足
ブルーカーボンの炭素固定量や持続性について、標準化された測定手法や国際的な評価基準はまだ発展途上です。
信頼性の高いデータの収集と発信が求められます。
人間活動による影響
沿岸開発、埋め立て、温暖化による水温変化、海洋汚染など、ブルーカーボン生態系には多くの脅威が存在します。
保全だけでなく、積極的な再生活動が必要です。
制度整備の遅れ
ブルーカーボンをカーボンクレジットとして活用するためには、明確な測定・報告・検証(MRV)制度が必要です。
日本でも動きはあるものの、まだ民間が活用しやすい枠組みには至っていません。
私たちが目指す未来
SUSTAINABLE JAPANは、ブルーカーボンを「気候変動対策」と「海洋環境保全」をつなぐ希望の技術ととらえています。
海洋という広大なフィールドで、地域社会、漁業者、企業、研究機関が連携し、環境と経済を両立させる仕組みを創出していく。
それが私たちの描くサステナブルな未来です。

さいごに
ブルーカーボンはまだ発展途上の分野ですが、その可能性は計り知れません。
海の中に眠る「炭素吸収の森」を育て、次世代へ豊かな海と地球環境を引き継ぐために、私たちは行動を続けます。
ぜひ今後の活動にもご注目ください。
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