海洋ごみから平和の架け橋へ:対馬とカンボジアをつなぐ循環型教育プロジェクト
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- 2 日前
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環境問題と国際支援、一見別々の課題のように思えるこの2つを創造的に結びつけ、教育の現場で実践している団体があります。特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトが推進する「CoRe Loop(世界とつながる学び)」は、地域の環境課題を世界の平和構築につなげる、まったく新しい形の循環型学習プログラムです。
プロジェクトの概要:海洋プラスチックが平和の贈り物に
長崎県対馬市の海岸には、日々大量の海洋プラスチックごみが漂着しています。対馬市立西部中学校の生徒たちは、この海洋プラスチックやシーグラスを回収し、リサイクルキーホルダーへと生まれ変わらせました。
完成した作品は、なかよし学園プロジェクトによってカンボジア・シェムリアップ州の難民支援の現場へと運ばれ、戦禍を逃れた子どもたちに直接手渡されました。単なる物資支援ではなく、日本の生徒たちの探究学習の成果が、遠く離れた地での人道支援活動と密接に連動している点が、このプロジェクトの大きな特徴です。
引用元: coki「海ごみが『平和の贈り物』へ 対馬とカンボジアを結ぶ支援の循環『CoRe Loop』」(https://coki.jp/sustainable/sdgs/66496/)
CoRe Loopの独自性:循環する学びの仕組み
従来の環境教育や国際支援活動の多くは、清掃活動や寄付といった一過性の行動で完結してしまい、その後の成果や影響が見えにくいという課題がありました。
しかし、CoRe Loopは異なるアプローチを取っています。生徒たちが地元の海を汚す「負の遺産」を「価値ある作品」へと再定義し、なかよし学園がそれを責任を持って届け、現地の反応や感謝の声を詳細な記録とともに日本の教室へ「還す」のです。
このような循環の仕組みによって、支援は単なる施しではなく、生徒自身の当事者性を育む「生きた教材」へと変貌します。自分たちの行動が世界のどこかで誰かの笑顔につながったという実感は、どんな座学よりも強い学びの動機付けとなるでしょう。
環境問題と平和学習の融合:素材を通じた価値の転換
このプロジェクトの底流には、対立や欠乏を「共創」の機会へと転換する強固な哲学があります。
現地カンボジアで出会ったジュエリーアーティストのBel氏は、地雷で足を失いながらも、石を磨き価値を付けることで自らの人生と地域の未来を切り拓いてきた人物です。Bel氏は日本の生徒が制作したアクセサリーを手に取り、素材の価値を変える力が人の希望をつなぎ直す力になると語ったといいます。
海洋プラスチック、地雷、紛争。一見解決不能に思える巨大な社会課題も、教育と表現というフィルターを通せば、国境を越えて人々を結びつける「共通言語」になり得ます。なかよし学園は、課題を嘆くのではなく、それを「平和を構築するための素材」として翻訳しているのです。
ビジネスへの示唆:社会実装力から学ぶ
このプロジェクトは、企業のサステナビリティ活動やCSV(共有価値の創造)経営にも重要な示唆を与えています。
第一に、自社のリソースや地域課題を異なる文脈に接続することで新たな価値を生み出す「翻訳の視点」です。対馬の海洋ごみという地域課題が、カンボジアの平和構築という国際課題とつながることで、両方の課題解決に貢献しています。
第二に、ステークホルダーを単なる「支援者」に留めず、プロジェクトの「当事者」として巻き込むUX(ユーザー体験)の設計です。対馬の生徒たちが経験した「自分の作品が世界を動かした」という手触り感のある成功体験は、深い学びと継続的な関わりを生み出します。
SDGsが形式化しつつある今、求められているのは理念の唱道ではありません。課題の現場を歩き、小さなアクションを確かな循環へと育てる「実装の知恵」こそが、真の価値を生み出すのではないでしょうか。
なかよし学園プロジェクトの「CoRe Loop」は、海洋ごみという環境問題と難民支援という人道課題を、教育という手法で結びつけた画期的な取り組みです。
この活動が示すのは、課題解決のための新しい視点です。異なる分野の課題を創造的に接続し、関わる人々を当事者として巻き込み、学びと支援の循環を生み出す。こうしたアプローチは、持続可能な社会の実現に向けて、私たち一人ひとりが実践できる可能性を示しています。
参考文献
coki「海ごみが『平和の贈り物』へ 対馬とカンボジアを結ぶ支援の循環『CoRe Loop』」URL: https://coki.jp/sustainable/sdgs/66496/(2026年1月12日公開)





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